宮女カンナンはなぜ自死したのか?
王妃となったソンイのセンガクシ時代からの友人、
宮女カンナン。
カンナンは自死に追い込まれます。生き残る道もあったのでは?
とあのシーンを見て思う人もいたかもしれないので、
説明します。
王妃が懐妊中、カンナンは成宗に承恩(王とともに寝所を共にすること)を
受けることになります。
王妃となったソンイは、満足するどころか
王妃という立場を守るために躍起になっていました。
そんななか、成宗(ソンジョン)がカンナンと寝所を共にした話を聞き、
激昂します。
本当にただ寝所を共にしただけで何もなかったと
訴えるカンナン。
けれどもソンイは当然ですがその話を信じようとはしません。
カンナンを自分の下で働かせます。
ソンイは、カンナンだけでなく他の側室からも
成宗を遠ざけたい一心でいろいろと画策していました。
カンナンまで寵愛を受けるとなると、側室になる可能性もあり、
自分の不安の種がさらに増えることになります。
そんななか、いい方法を思いついたのです。
それが中宮殿(チュングンジョン・王妃の住まい)への放火。
これを自作自演したのでした。
案の定、宮殿の人間の同情を買うことが出来、
成宗の目を自分に向けさせることに成功します。
そのあと、カンナンを脅迫。
脅迫の中身はこうです。
「本当は、あの火で自分を殺すつもりだったのでは?
(放火をカンナンのせいに仕立て上げることもできるという脅迫)」
「私もあなたに死んでほしいの」
つまり、カンナンの行く末は放火の罪を着せられて死ぬことか、
自分で死ぬかのどちらかしかない、とソンイは言っているのです。
周囲の視線を自身に集めて同情を買ったうえ、
邪魔者も排除する。ソンイの狙いはこれでした。
王妃の命を狙ったということになるわけですから、
当然死は免れません。
産室庁の前で成宗が子の誕生を今か今かと待っているとき、
カンナンと一瞬目が合います。
しかし、成宗はばつが悪そうに目を背けるのでした。
そして産室庁に響き渡る赤子の声。
成宗が次にカンナンのほうを向くと、すでにそこには誰もいませんでした。
成宗の寵愛を受け、女官から王妃にまで上り詰めたソンイ。
成宗から承恩を受けたものの、いまは目さえ合わせてもらえないカンナン。
そしてソンイは王子まで産み、将来の王の母とまでなったのです。
その赤子の泣き声が響き渡るなか、
カンナンは女官部屋へと向かい、ひっそりとその生涯を終えるのでした。