廃妃尹氏(ペビユンシ)の育て親・チェ尚宮
「インス大妃」第1話から、ソンイ(廃妃尹氏)を
引き取り育て親となるチェ尚宮。
もちろん、架空の人物です。
ソンイの家の近くをたまたま通りかかり、
その境遇を憂いたのかソンイを育て甲斐があると
感じたのか、自ら引き取りセンガクシとして
宮女の教育を受けさせます。
宮女として生きていくことを決めたソンイも、
チェ尚宮を実の母のように慕います。
チェ尚宮はその昔承恩(王と寝所を共にすること)を
受けたことがあったのですが、その後は王と関わりを持つことはなく
尚宮として宮殿で生活をしていました。
尚宮としてしか生きていくことのできない境遇を悔やみ、
ソンイに自分の夢を託すために一生懸命に彼女を育てるのでした。
一時期、同じくソンイに目をかけた大殿尚宮であるホン尚宮に
ソンイを取られたり、
また粋嬪(のちのインス大妃)にもソンイと引き離されたりして
不遇の時期を過ごすこともあり、自暴自棄になりながらも
ソンイが成宗の側室となり、ついにチェ尚宮は夢を叶えるのでした。
ところが、ここからチェ尚宮とソンイの間に少しずつ
考え方のズレが生じてきます。
承恩を受けたものの後宮にはなれなかった自分と、
承恩を受け見事に王室の一員となったソンイ。
チェ尚宮はこれで自分の夢は叶えられたと感じていたようですが、
ソンイの権力欲と成宗への求愛は留まるところを知りません。
少しずつ、ソンイの大胆な発言と行動に違和感を覚えることが多くなる
チェ尚宮。
ソンイが王妃となってからも、彼女の尽きることのない
欲望と不安を目の当たりにし、チェ尚宮自身の不安も
徐々に膨らんでいきます。
義母であるインス大妃にさえ成宗を取られることを
恐れていたソンイ。側室への嫉妬も相当なものですが、自分を忌み嫌う
インス大妃に対しても並々ならぬ敵対心を抱くのでした。
そんな彼女の行く末を心配するチェ尚宮。
自身も一時期インス大妃を恨んだことがあったものの、
ソンイが王妃となってからは王の母であるインス大妃と
反目しないほうが良いとソンイをたしなめるチェ尚宮。
しかしその助言をまるで聞いていない、
不安と欲望に駆られどんどん暴走していく王妃ソンイ。
そしてついに、決定的な事件が起きます。
インス大妃と距離を置いていたはずの成宗がインス大妃の
もとへ向かったという情報がソンイの耳に届き、
二人が和解するのではと不安と怒りに震え、ソンイは
自分も向かうと言い始めます。
そんなことをすれば大妃様の逆鱗に触れ、いくら王妃でも
無事ではいられなくなる・・・・と必死に止めるチェ尚宮。
しかしこの言葉自体が、ソンイの逆鱗に触れるのでした。
不安に駆られていて冷静な判断が出来なくなっている
ソンイは、チェ尚宮でさえ自分を理解しない、
裏切ろうとしている人間だと思い込んで、
実の母同然のチェ尚宮をたたきの刑に処します。
後日、チェ尚宮はこの時に負った傷が元で
命を落としてしまうのでした。
しかし、大傷を負ってもなおソンイの行く末を
心配していたチェ尚宮。
まさに最期まで、彼女は「ソンイの母」で
あり続けたのでした。